老母の見栄
今回、母はずっと、「ケアハウスで使う、小さいホーム炬燵がいる」、と言っていた。発端は、一月ほど前、同じケアハウスに入居している人から、「もうホーム炬燵は出されたんですか?」と聞かれたからだという。「無いとは言えんから、まだ出していません、と言っておいた」とのこと。はて、無いものを無いと言えないほど見栄っぱりではなかったはずだが。
「ふた冬辛抱したけど、今年はいる」と言う。辛抱もなにも、部屋は南向きで、いつも「暖かすぎて、暖房をあまりつけんでもええ」、と言っていたのに。
以前使っていた一人用のホーム炬燵を持って行くことにして、炬燵布団だけ買うことにする。
かつて、曾野綾子さんが、ご自分のお母さんのことを、「歳をとったら、人格が変わる」というふうに書かれていた。母は頭の中で、少しだけ抑制力の方が衰え、人に遅れをとりたくないという見栄がもたげてきたのかもしれない。まあ、このくらいの見栄はかわいいいものであるけれど。
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