同窓会
今年の高校同窓会は、上野の芸大美術館を見て、豆腐会席料理を食べ、旧岩崎邸の見学という、最良のコースだった。
参加者は11人。毎年、のっぴきならない用事で欠席せざるを得ない人が出る。親の介護中であったり、近親者の不幸に見舞われることもある。
ほとんどのご主人は定年を迎えており、役職を退いた上で、軽い仕事に就いていたり、夫婦で第二の人生を歩んでいる人やらである。中にはご主人を早くも亡くされた人もいる。
60代は、いろんなことを背負っている年代である。両親とも健在という人はいなくて、長命の母親が生きながらえているとしても、いつなんどき何が起きるかわからない、という不安がある。ほとんどの人が、親の死という人生で避けられない悲しみを経験している。そしてこの前までの郷里の親の生活が、今や自身の境遇と重なる。
夫は一線を退き、子は独立し、妻たる私たちは、なんにも纏われていないひとりの女となった。夫から「ばあさん」と呼ばれたと憤慨していた友達、「きたなくなった」と言われた友達、なんと無神経な言葉を!
世の中のありとあらゆるものを見て、困難を乗り越えてきた、60数年の重みは、心のひだに隠されている。だから、人間としての美しさを湛えている。
精々自分自身の内面を充実させることしかない。もう他人と比べることのむなしさも知ったし、ほどほどでよいという中庸の精神も身についたから。
これからの人生において、なにを生き甲斐にするか、なにを目標にするか、みんな一生懸命である。一緒に歳をとっていく友達は心強い仲間である。
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