むらすずめ
1年に1、2回、一人の友達の水墨画や書道の展覧会を鑑賞するグループ、もう何年も恒例になっていたので、倉敷の銘菓にちなんで、『むらすずめ』という会に名称が決まった。
展覧会に出品する画や書に追われるというほど、毎日を書画の製作に費やしている友達は、県の水墨画展で賞をもらうほどに、腕を上げられた。
彼女の画で、私が好きなのは、主体が丁寧に描写されているそばに、たいてい、動物がちょこっと描き加えられているところである。
今回の画も、『家路』という題目で、鵜飼いの舟が帰るところだが、舟の中に船頭と、鵜が2羽、ちゃんと表情をもって乗っている。
仕事を終えて、「ごくろうさん。さあ、帰ろう。」と船頭が鵜に声を掛けている様子を想像して、ほほえましい気持ちになる。そして、彼女の中にそういう優しさや、心の豊かさがあるのを感じる。
筆遣いや、墨の濃淡、ぼかし具合などで、遠近や情感などを表せる、水墨画は、ごまかしがきかない。
高校の歴史の教師をされていたが、定年を待つまでもなく辞められた。
今、彼女は思い描いていたとおりの、美しい人生を歩まれているのだと思う。
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