ほのかちゃん
父の7回忌の翌年に母が亡くなったことから、久しく疎遠だった従兄弟たちとも、すっかり馴染みになった。
ところが、ほとんどの列席者が車で来るもので、法要のあとの会食の席では、「おひとつどうぞ」という具合に、お酒を注ぎながら言葉を交わしていくわけにいかない。
近くに座った者同士がしゃべることになる。
そんなとき、ちょっと離れた場所に無口な男性が座っていたりすると、つまらなさそうで気に掛かる。
今年、みんなを楽しい笑いに誘ってくれたのは、2歳9ヶ月になるほのかちゃん。ママに赤ちゃんが生まれたばかりで、おじいちゃん、おばあちゃんのところで預かっているところだ。
座卓のぐるりを一人ずつに声をかけながら、全員に挨拶をして廻った。
「おにいさん、こんにちわ」「おねえさん、こんにちわ」と。
初老も若きも、男はおにいさんで、女はおねえさん、と間違えない。
一人が「おにいさんとおねえさんと何処が違うんでえ?」と聞いたら、ちょっと考えてから「色がちがう」と答えた。これにはみんな大笑いだった。
全体がなごやかな雰囲気になった。
私たちは、その日は弟の家に泊めてもらうことにして、夕方まですこし時間があるので、すぐ近くの犬養木堂記念館から、吉備津神社、吉備津彦神社を見て回った。
私の弟であるおじいちゃんが運転する車には、いつも後部座席のチャイルドシートにほのかちゃんが乗り込んでいた。
そして、翌日、帰るとき見送ってくれた電車の駅では、バイバイといつまでも手を振ってくれた。
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