万年筆の修理
10年前、タイ旅行をしたときに、ホテル内の店で、一目見るなり、買いたくてたまらなくなって、奮発して買ったフランス製の万年筆。
デザインも色も好きで、書き具合もなめらかで、とても気に入っていた。
ところが、ザラザラの紙などでもお構いなしに使っていたせいか、すべりが悪くなってしまった。
ペン先を修理に出したいと、大きな文具屋をあたってみたりしたが、どこも自分の店で扱っているメーカーのものしか修理出来ないという。
インターネットで、東京に手作り万年筆の店を探し当て、電話をしたら、ペン先調整なら出来ると言われた。
川窪万年筆店といって、創業80年で、今は3代目が継いでいる。
柳田国男や宇野千代の愛用品を手がけたといい、愛好家は多いという。
6月に公開される、新田次郎原作の映画『剣岳 点の記』で、出演する浅野忠信、役所広司に万年筆を小道具提供した、などと紹介している。
山岳撮影のため、気圧対策として改良を施した万年筆だというから、かなり高度な技術を持った人でないと作れないであろう。
日本で手作り万年筆を作れるのは3人しかいないそうだ。
書留で万年筆を送り、どのくらい日数がかかるか聞いたら、気っぷのよさそうなおかみさんが「何ヶ月かかるかわかりませんよ」と言っていたのだが、意外にも、2、3日して「息子がこれでいいだろう、と言ってましたから。インクの流れが少し悪かったのと、ちょっと直したようですよっ」と、電話がかかってきた。
修理代と宅急便代を銀行に振り込んだら、翌日届いた。
ちょっとの間、私の手元を離れていた万年筆が戻ってきてうれしい。
書き味はなめらか。これからは大事に使おうと思って、万年筆用の便せんも買ってきた。
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