忠霊塔の草取り
遺族会の地区役員を2年やった後、地区の会長に脱退したいと申し出たら、「会員数が減ると市からの補助金が減るので名前だけでも入っていてほしい」と頼まれ、「では、名前だけ」ということになっていた。
だけど、なかなかそういうわけにもいかない。
通知書が入っていたり、電話連絡があったら、「私は名前だけのはずなんですが」とも言いづらい。
毎年の靖国神社ツァー、一泊旅行、市の戦没者慰霊祭などは、「行かない」と言えば、それで済む。
だけど、地域内にある、忠霊塔の草取りの仕事だけは、「やりません」とは言いにくい。
実際、うちは、よそから来た者だし、遺族としてこの地域の忠霊塔に名前を入れてもらう必要などなかったのだが。
数年前、なにか活動している証しに、小さな土器の壷に一人一人の名前を書いた紙切れを入れて、忠霊塔の中に収めた。
去年は10数万円でお位牌を一つ作って収めた。今さらながらに・・・。
忠霊塔の草取りはグループごとに当番を決め、4年に1回くらいで当番が回ってきていた。
それが、毎年、数名ずつ脱会者があるため、グループを編成し直し、3年で当番が巡ってくるようになった。
当番の年は、年に4回、草取りに出なくてはならない。
今の役員さんは、いつも買いに行く農協の直売所に野菜を出している。
「前は大変だったけど、今度は2回消毒しといたから楽だとおもうよ」。
今は、虫を殺す農薬も、除草剤のことも、「消毒」という。
こんなふうに”漢字と意味がまったく異なる”言語が一般に通用している例は珍しい。
4回目の草取りは、3月の慰霊祭前にやるので、念入りにすることになっている。
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