« 白内障の手術をした友達 | トップページ | 年金で不利益を被っている友達 »

2009年12月 3日 (木)

「心訳 般若心経」

Rimg0727 1年前くらいに、書評を見て、生命学者の柳澤桂子さんの「生きて死ぬ智慧」を注文した。

50頁にも満たない小冊子で、なんだ、これだけのものか、と、さっと見て、棚上げしてしまっていた。

今回、また目に触れたので、改めて読み直してみた。

副題は、「心訳 般若心経」。

「般若心経」の原文に対応してはいるものの、ほとんど、科学者としての著者の独自の解釈である。

この本の一つ一つの言葉が、叡智の極みとも言える。

また、この本の半分は、日本画家の堀文子さんの絵で埋まっている。

この絵がまたすごい。生命・宇宙・空(くう)・彼岸・情念というような観念を絵で表す、卓抜した才能に驚かされてしまう。

柳澤さんは、将来を嘱望される優秀な科学者でありながら、36年間原因不明の難病により、闘病生活を送った。

そして、その病が”周期性嘔吐症”と診断され、抗うつ剤による治療で小康状態を得たところで、今度は”新たに”脳脊髄液減少症”という病で、治療を受けていられる。

気の遠くなるような辛い日常の中で、思索を深められた。

物も人間も、宇宙の原子の濃淡でしかなく、一元的な世界こそが真理であるという。

『宇宙の真実に目覚めた人は、物事に執着するということがなくなり、何事も淡々と受け容れることができるようになります』。

今は物事への執着心でいっぱいの私だが、これから、老いに向き合って生きて行くには、心の片隅に、このような悟りの境地を芽生えさせていくのが、潔い生き方につながるのではないかと思う。

この本を傍らに置いて、親しみたいと思う。

|

« 白内障の手術をした友達 | トップページ | 年金で不利益を被っている友達 »