独唱会
友達の歌の発表会を、初めて聴きに行った。
ベルカントという、イタリア歌劇から生まれた歌唱法で、高音でも圧倒的な声を発する。
お稽古の発表会だから、お付き合いだから、と思いながら出かけたのだったけれど。
歌い手は主に50~60歳代の方たちだが、70代、80代の方もいられる。
その気持ちの入れ様が衣装にも表れていた。
全員、一部と二部で2曲ずつ歌ったが、すべての人が衣装を取り替えた。
それも、すばらしく豪華な・・・・”これは衣装にもすごいお金をかけているな”と思ったら、後で友達に聞いたら、ネットなどで数千円から手に入れられるそうだ。
その中で一番若そうな、35歳くらいの女性が、『タイム・セイ・グッバイ』という私も大好きな曲を歌い始めた。
エッ?音程がおかしい!声の調子が悪いのか!
何度か歌い直したが、歌い切れない。
とうとう途中でやめて、聴衆と伴奏者に謝り、泣きながら退いた。
これも、後で友達に聞くと、「普段の彼女なら何でもなく歌える曲なんだけど、舞台に出てくるなり、しゅうと、姑さんの姿が目に入ったそうで、動揺して、歌詞を忘れてしまったそうなの」ということだった。
幸い、二部では、落ち着いて上手に歌い終え、見ている方も胸を撫でおろした。
私の隣で、最初も最後も、ひときわ大きな拍手を送っていられた年配のご夫婦がいらした。
コンクールでも良い成績をおさめられ、海外でも活躍されたという実力のある先生の言葉がよかった。
「私だって何度も修羅場をくぐってきてるんですよ」。
最後は、先生が一曲歌われた。
プロの音楽家のすばらしい生身の声を聴かせていただいた。
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