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2010年5月 6日 (木)

山本一力

直木賞作家の山本一力の『梅咲きぬ』は、読んでいて、姿勢を正される思いがする。

老舗料亭の跡継ぎ女将になる運命のもとに生まれた主人公が、幼い時から妥協を許されない厳しいしつけを受けながら、立派に成長してゆく姿を描いている。

何度か矜持という言葉が出てくる。

”料亭としての矜持のあらわれとして茶請けひとつにカネをかけた”

”器に輪島塗の椀を用いたのも、料亭としての矜持を示すためである”

どんな職業であれ矜持を持って生きる人は、ピンと背筋の張った生き方をしている人といえる。

下足番がこんなことを言う。「玄関先が汚れている家は、万にひとつの間違いもなく、その家に暮らす者がだらしない」

これにも”ごもっとも”で、うちの玄関を見直し、今まで「これくらいなら、まだいいか・・・」で見過ごしていたのを、チョコチョコと掃くことにした。

読後はすがすがしい清涼感を味わった。

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