花束
ヒナが亡くなった翌日、獣医院から立派な花束が届いた。
お礼の電話をかけると、
「治療を始めてあんなに元気で長く生きられたのは、ヒナちゃんだけなんです。ほかの人へ、良いお手本になっていたんですが。申し訳ございません」
と謝られた。
そんなふうに言われると、やはり、良心的な獣医さんだったんだ、と思う。
1匹になった黒猫ルナは、今までベッドのある部屋はのぞくだけだったのが、今日は、私のベッドの上で昼寝をし、夜も眠りこけている。
ヒナの占有場所として、今までは譲っていたからなのか、それとも、ヒナの代わりを果たそうとしてくれているのか。
頭のいいルナの摩訶不思議な現象だ。
15年もの間一緒に暮らしたものが、無になってしまうのは、悲しい。
けれども、その期間とともに、小さいものが、ありたけの愛情を去り際に見せてくれたことは、心に深く残る。
| 固定リンク
最近のコメント