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2012年7月 5日 (木)

新田次郎生誕百年

今年は新田次郎生誕百年にあたる。

二男の藤原正彦氏が、御自身のベストセラー本に加え、尊敬してやまない父上のことを常に語っているので、より一層、新田次郎の偉大さが広まったように思う。

先月、長野県諏訪市では、記念行事が行われ、藤原正彦氏の講演や、記念植樹などが行われた。

近いところなら行って、肌に感じたかった。

今、『霧の子孫たち』を読んでいる。

作者の故郷である、霧ヶ峰を通る有料自動車道路建設に反対する運動を取材した、事実に基づく小説である。

その中で、実在した中心人物の一人が語っている言葉が人間の本質を問うている。

「人間があってこそ自然があるという人間中心主義の考え方は、人間以外の生物の生命を軽視する考えに直結します。自然の中に人間はあるのです。人間が生きる権利があると同じように、自然も生きる権利があるのです。人間以外の生命を愛する気持ちがあってこそ人間愛を口にすることができるのだと思います」。

新田次郎という作家の、厳しい自然との闘いを描いた山岳小説の精神を貫くものが、こういう思いから発していることに、感動の念を覚える。

いつか諏訪市の”新田次郎を巡る旅”を実現したい。

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