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2012年9月 1日 (土)

歌人一家のドラマ

お風呂にも入り、あとは寝るだけという時になって、ちょっとだけテレビをつけて見たくなる。

たいていはくだらないお笑い番組だったりして、チャンネルをあちこち変えてみて、見るほどのものはなかったと、消してしまうのだが、先日は、大きな拾い物をしたような気分になった。

BS3チャンネルで、日曜夜10時から1時間のプレミアムドラマである。

萩本欽ちゃんの実話ドラマで、ときどき欽ちゃん本人が心情を語る場面があったりして、お笑い芸人の生の誠実な姿が映し出されていてよかった。

それで、次週の予告が、2年前に亡くなった河野裕子さんの”歌人一家壮絶愛感動の実話”というものだった。

ちょうど今、亡くなる直前の長女による口述筆記まで含まれている、エッセイ『桜花の記憶』を読んでいるところだった。

これは絶対見なくては!と、1週間後を心待ちにしていた。

すばらしかった。ご主人の永田和弘さん役が風間杜夫というのもよかった。永田さん本人の話からは深い悲しみが伝わった。

死の前日まで、歌を詠まれたという。

そして、辞世の歌とされる、

”手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が”

を作ったときの情況がこのようであったのかと、すさまじい歌人魂に圧倒された。

このような地味な深みのあるドラマが夜の10時からというのが、惜しい気がする。

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