いちご
昨年11月に中学の同窓会で、ホテルで同じ部屋に泊まった人から、いちごが一箱届いた。
その人とは、中学卒業以来はじめての再会だった。
宿泊の夜は、主にその人が様々に経験されたことを他の3人で聞いていた。
沢山のいちごを栽培していること。
3世代同居で、お孫さんたちのお世話をしていること。
乳がんの手術をされて3年になるが、足を骨折されてそれどころではなくなって、乳がんの検診を忘れてしまったこと。それで、「次の同窓会は私にはないかもしれない、、、」などと。
その人から、いちごが送られてきたのだ。
それは大きな甘いいちごで、品評会で賞をとれるのではないかと思えるぐらい立派なものだった。
いちごのことだから、早く食べたほうがいい。
あまりにもったいなくて、いちご好きの孫にも食べさせてやりたいと思った。
その夜、自分のアパートへ帰る長男に、寄り道して、二男の家に持って行ってもらった。
それからまた最近、同窓会の慰労会があり、写真を預かったからと、送ってくださった。
それには、『毎日、孫たちの世話をしています。次の同窓会でまたお会いしましょう』と書かれていた。
ふと、乳がんの不安が、頭によぎることがあるのかもしれない。
でも、自慢のいちご作りと、お孫さんの世話という役を持つその人は、気に病んでいる暇などないのだろうから、いつか、病気が過去のこととして語られるようになるだろうと思っている。
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