ピザ店のコーヒー

いつもの散歩コースから少し足をのばして歩いてみた。

国道なのだが、周囲は畑地で、人家はポツンポツンとあるだけで、街道と呼ぶにふさわしい。

歩いて通ることはないこの道沿いに、一見雰囲気がありそうな丸太小屋に”PIZZA"と書かれた看板が見えた。

１０数年前に一度行ったことがある。

まだやっているんだ・・・と思いながら見ていたら、中から女の人がにこやかに、”どうぞ”というふうに入り口を指し示す。

散歩中で小銭しか持っていないし、休みたいわけでもないが、なんとなく誘われて、「飲み物もあるんですか」と聞くと、「あります」というので中に入った。

「コーヒーを！」と注文すると、「まずコーヒーなんですね」という。

「いえ、コーヒーだけ」といいながら、”入らなきゃよかったな”という思いがかすった。

そして、１分もしないうちにコーヒーが運ばれてきた。

付いていたのは”スジャータ”、そう書いてある。

家では、乳製品のクリームしか入れない。

息子が先日「コーヒークリームなんて油脂ばっかりなんだよ」と言っていた。

”コーヒーは付けたりで、ピザならおいしいのかもしれない・・・ためしに食べてみよう”

と、ピザをまた注文した。

そこで自分が小銭しか持っていないことに気付いて、すぐに取り消した。

勘定は、コーヒー１杯で４２０円。

お店で飲むコーヒーとしては安いようでも、作り置きコーヒーにスジャータでは高すぎると、無駄遣いしたような気分が残った。