「孫が読む漱石」
夏目漱石の没後100年が近づいて、なにかと漱石が取り上げられているが、孫の夏目房之介が書いた「孫が読む漱石」が面白い。
現在は学習院大学院の教授でもあるが、マンガコラムニストが本職であるだけに、気取りがなく、ユーモアに満ちている。
ずっと、文豪の孫、漱石の孫といわれることに反発してきたそうだ。
別の話では、中学生のとき、女生徒から顔をまじまじと見られ「おじいさんはハンサムなのにね」と心無いことをいわれて傷ついたそうである。
昔の著作権法では著作権保護期間が著者の死後30年だったため、孫は恩恵を受けることはなかった。
”美田が残されなくてよかった。漱石の遺産が長く生きていたら、親族間でどれほど醜いことになっていたか、想像するだけでうんざりする”と恬淡たる心情を述べている。
そして、お母さんとの生前からの話し合いで、漱石の遺物はすべて神奈川近代文学館に寄贈することにしていたそうである。
この本は主に、漱石の作品について、書かれた時代と漱石本人の心象を洞察しながら感想を述べていて興味深い。
著者が漱石本を書いたのはこれが2冊目。
その前に『漱石の孫』というのが出ている。
これも読みたくなって、書店に行ったら、店員さんが調べてくれて、
「もう絶版になっています。読みたいのでしたら、古本屋で探すか、図書館に行ってみてください」といわれた。親切なことである。
それで、ネットで調べたら、アマゾンで古書としてあったのですぐに手配した。
まもなく到着するのを楽しみにしている。
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