小泉元首相の脱原発論
自民党内に強力な脱原発論者がいる。
小泉元首相である。
【今月中旬、脱原発のドイツと原発推進のフィンランドを、三菱重工業、東芝、日立製作所の原発担当幹部とゼネコン幹部5人と一緒に視察した。
道中で、ある社の幹部が「あなたは影響力がある。考えを変えて我々の味方になってくれませんか」とささやいたそうである。
「いま、オレが現役に戻って、態度未定の国会議員を説得するとしてね、『原発は必要』という線でまとめる自信はない。今回いろいろ見て、『原発ゼロ』という方向なら説得できると思ったな。ますますその自信が深まったよ」
呉越同舟の旅の伏線は4月、経団連企業トップとのシンポジウムにあった。経営者が口々に原発維持を求めた後、小泉が「ダメだ」と一喝、一座がシュンとなった。
その直後、小泉はフィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」見学を思い立ち、原発に対する賛否を超えた視察団が編成された。
「オンカロ」は世界で唯一、着工された最終処分場で、2020年から一部で利用が始まる。
原発の使用済み核燃料を10万年、「オンカロ」の地中深く保管して毒性を抜くという。100年後の地球と人類のありようさえ想像を超えるのに、現在の知識と技術で超危険物を埋めることが許されるのか。
帰国した小泉に感想を聞いたところ、
「10万年だよ。300年後に考える(見直す)っていうんだけど、みんな死んでるよ。日本の場合、そもそも捨て場所がない。原発ゼロしかないよ」
「今ゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しい。野党はみんな原発ゼロに賛成だ。総理が決断すりゃできる。あとは知恵者が知恵を出す」
「しぜんを資源にする循環型社会を、日本がつくりゃいい」】
長々と書いたが、以上が毎日新聞今月26日の、山田孝男氏の『風知草』の要旨である。
小泉元首相の話は、非常に説得力がある。どの党にいようが、真の政治家は末永い国民の安全を考えられる人でなければならない。
『原発を失ったら経済成長できない』と経済界は言うが、人類にとって深刻な問題と、一時の経済の浮沈とが比べ考えられるようなことであろうか。
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