武田百合子の『富士日記』
最近、猫のルナは、私の新しいスリッパの柔らかい感触が気に入ったらしく、スリッパを脱いだあと、スリッパに頭を突っ込んで全身で転げまわっている。
それで、ふと思い出したのが、最近読んだ武田百合子の『富士日記』に書かれていた情景だ。
百合子さんがご主人の武田泰淳と富士山麓の山荘で過ごしているとき、山荘が近所で、行き来していた大岡昇平夫妻が犬を連れて遊びに来た。
犬は、泰淳のはいていた厚い木綿の兵隊靴下の先を噛んで喜んでいた。
見ていた大岡昇平が、だんだん我慢ができなくなったらしく「デデ!!それは汚ねえんだぞ」と、犬に注意した。
というエピソードが書かれていた。
武田百合子の『富士日記』の評判がいい。
日常を綴りながら、どことなくおかしい。おかしさが印象に残って、いろんな場面を思い出す。
泰淳に日記を書くことをすすめられ、随筆しか書かなかった人だが、文筆家として評価は高い。
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