老犬
近頃は獣医学も進んで、犬も長生きをするようになった。
ウォーキングの途中で、若い柴犬と老いたビーグル犬を散歩させている知り合いのご夫婦に出会った。
「この犬はもう16歳になるんですよ。ボロ雑巾のようでしょう」と言われる。
かつて血統がいいとかで、白、茶、黒色がくっきりとして綺麗だった姿も、今は灰色に混ざり合って見る影も無い。
耳は遠くなり、若い息子さんには反応して、「おあずけ」もしているが、年寄りの自分たちの声には反応しないで、ご飯をやってもいきなりかぶりつく。
そして、昼寝でもしたら、朝起きた時と勘違いして、ご飯をねだるという。
困るのは、わけもなく吠え立てることだそうだ。
周りに住宅が少ないところだから、さほど近所迷惑になることはないだろうが、自分たちがうるさいという。
そんなことを語りながら、その人の家が近づくと、犬はさっさと横断歩道へ引っ張っていき、渡り始めた。
ご主人が「ボケても自分の家は忘れないで、こうしてちゃんと横断歩道を渡るんですよ」と苦笑された。
人も犬もボケると哀れで、ひとしお悲しい。
その後、私が薄暮れどきウォーキングをしていると、やたら甲高く吠え立てている犬の声がひっきりなしに続いていた。
| 固定リンク
« おいしいコーヒー | トップページ | 睡眠の質 »
最近のコメント