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2014年6月25日 (水)

「白蓮」墓参り客急増

NHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」で仲間由紀恵さんが演じる伯爵家の葉山蓮子は柳原白蓮がモデルとされており、放送が進むにつれ、神奈川県相模原市にある白蓮のお墓へお参りする人が増えているそうだ。

白蓮は叔母・柳原愛子が大正天皇の生母で、大正天皇とはいとこにあたる。14歳で無理やり結婚させられ、長男を授かりながら5年後に離婚。次に25歳年上で「九州の炭鉱王」といわれた伊藤伝右衛門と見合い結婚したが、東京帝国大学3年生で社会変革の活動に取り組んでいた宮崎龍介と駆け落ちし、生涯を共にした。

仲間由紀恵さんの演じる誇り高く毅然とした白蓮は、波乱に満ちた壮絶な生き方において、貧しい農家で育った花子とは対照的で、ドラマを盛り上げている。

それで人気が出たからといって墓参り?

私は思い出した。

白蓮について、白洲正子さんが自伝に記していた。

柳原家と白洲正子さんの実家とは姻戚関係にあったため、白蓮が家出して裁判沙汰が終わるまで家であずかっていたそうである。

正子さんには、「筑紫の女王」といわれるほどの女性ではなく、世間見ずのわがままなお姫様のように見えたそうである。

自伝にこう書かれている。

≪その後何十年も音沙汰無くすぎるうち、ある夜勢い込んで電話がかかってきた。

「あなた、今度のことどう思う?」「美智子さんですよ。あんた、このままほっとくつもり?」

(全然見たことも会ったこともない方のことは何もいえないと答えると)

電話の向こう側では怒り心頭に発したらしく、ガチャンと切ってしまった。

切ったとたんに私は吹き出した。ーーーナンダ、白蓮さんは共産党員と意気投合して、何十年も経った今日では、骨の髄までマッカッカに染まっていると思ったのに、あれはみんな嘘だったのか。それが人間というものなのか。

いや、そうではあるまい。彼女の場合は、付け焼刃の思想より、公家の「血」の方が濃かったのだ、千年の骨身にしみこんだ伝統は、個人のおもわくなんかでは消えないものだ。それが歴史の姿というもので、考えてみると、恐ろしいことである。≫

さすが歯に衣着せぬ白洲正子さんの言であると思う。また皇后様が歩んでこられた道が茨の道であられたことに思いを致されるのである。

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