妖怪ばやり
夏休みの終わりに三男一家がやってきた。
今子供たちの間では”妖怪ウォッチ”というのが大流行らしい。
妖怪ウォッチ図鑑を持ってきて、歌いながら踊ったり、しゃべる言葉にときどき妖怪用語が入る。
弟のゆいとくんが持ってきたぬりえを始めると、兄のたいちゃんもやりたくなって、「手伝ってあげようか?」と声を掛ける。
すると、ゆいとくんは「いいよ、いいよ。ぼくのことは気にしないでいいよ」と、両手を耳の脇につけてヒラヒラさせた。妖怪の一人の真似のようだ。
声を掛けるたびに繰り返した。けど、本当のところは、一人ではつまらない。
「ゆいとくんは○を上手にかけないから描いてあげようか」と言ったら、今度は「ゆいとくんは○がかけないから描いて」とうまくのってくれた。
二人の間ではいつもこんなふうな駆け引きがあるらしい。
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