草履
神戸で姪の結婚式があるので、ホテルで着付けをしてもらうために前もって一式送っておくことにした。
着付け教室に通っていた頃に買っていた、袋帯がやっと日の目を見ることになった。
着物は、母が姪の結婚式に着た「辻が花」の地紋のある青みがかった鶯色の着物。これを一度着てみたかった。
そして、草履はバッグと揃いで、いつか慶事のためにと買っていたが、使う機会がなかった。
手入れをして荷造りしようと、草履の鼻緒をクリームでこすっていたら、ボロボロと剥げて、紫色の鼻緒の白く剥げ落ちた部分が見苦しいことになってしまった。
一度も履かないまま捨てるのも口惜しい。
町には古くからの履物屋さんがある。
すぐに持っていって鼻緒をすげ替えてもらうことにした。
鼻緒が3千円、手数料が千円で、前金4千円を払って、2時間後には仕上がるという。
この道一筋でやってきたようなおじいさんが、「靴のサイズは何センチですか」と聞く。足の多きさで鼻緒の緩ませ具合がちがうらしい。
仕事が入って嬉しそうだった。
買い物をして、仕上がった草履を受け取りに行った。
店の奥さんに「ときどき手入れをしていた方がいいんですかね」と聞くと、
「ときどき履いてもらうのが一番いいんです」と言われた。
もったいぶって一度も履かなかったのが悪かった。
また、これからはせいぜい着物を、草履はまんべんに繰り回ししながら履くことにしようと思う。
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