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2015年4月 5日 (日)

優先席

所ジョージさんが、朝のNHK番組に出演していた。番組の前宣伝のようだった。

その中で、バスの老人の優先席というのはおかしい。若者の遠慮席というべきだと言っていた。所さんは言葉を大事にする人のようだ。

それで、先日私が経験した、ちょっとした違和感を思い出した。

混んだバスの中で私が立っていたら、斜め前に座っていた中年女性が、

「どうぞ座ってください。すみません、空いていたから座っていただけなんで」

と、ひどく悪びれた様子をされた。

最近は席を譲られることにも慣れたが、私は立っているのがしんどいと思うほど、疲れてはいなかったし、かえって座っている人を立たせて申し訳なかったと、すまない気がした。

所さんの話を聞いて、そうか、優先席とあるから、老人の範疇に入る人には、そこに座る権利がある、みたいな気持ちを持たされるんだな、と思った。

内田百閒の『第一阿房列車』の中で、

”遺失物取扱所”と書いている窓口を見て、連れの者に、

「遺失物というのは、落として、なくなった物だろう。なくなった物が取り扱えるかい」

「拾って届けて来たのを預かっておくのでしょう」

「拾ったら拾得物だ。それなら実体がある。拾得物取扱所の間違いかね」

というくだりがある。

百閒先生にかかれば、訂正したくなるような、間違った言葉遣いがいっぱいあったにちがいない。

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