正座椅子
お煎茶の稽古用にと、正座椅子を通信販売で買っていた。
それは、逆三角形のような形をしていて、座る平らな部分に対して、床に接する部分は三角柱の1辺のようで、お尻で均衡をとっていないといけない。
じっと動かないなら保てるが、お点前であっちの物をこっちへやったりと、腰を浮かすと体勢が崩れてしまって、すぐにはお尻を元のように安定させることができない。
最初のお稽古で、これは使えないとわかった。
買う時から大丈夫かなという疑念はあったのだが、6千円という高額だったし、いいものなのだろうと思った。
6千円を無駄にするのはいかにも悔しい。
何とかならないものだろうかと頭をひねった。
そして、思い切ってバラして、上等の生地だけでも使おうと思った。
中身は、最近段ボールで机を作ったりしているではないか、お尻を乗っけても大丈夫だろう。
段ボールをぎっしり巻いて、生地にいっぱいに入るようにして縫い込み、円柱形のものを作った。
お点前中に持ち運びがしやすいように、脇にヒモを付けた。
次からこの正座椅子を使っているが、軽いし、お尻の当たりはいいし、申し分ない。
ところで、逆三角の正座椅子を最初に使って、無理な姿勢になったりしながら、お尻にはめこんだり、痛くて、本当のところ、膝を痛めてしまったのではないか、とんでもないことになった!と心配だった。
ところが、それまで痛みがでそうな弱い方の膝をかばうかっこうで、膝を少し崩していたのが、無理をしていろんな角度から圧力をかけたことが、結果的にリハビリになったようで、翌日からスッキリと、きれいに座れるようになったのだ。
これはうれしい。6千円で膝を治してもらったようなものだ。
思いもかけぬ怪我の功名であった。
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