金王八幡宮(こんのうはちまんぐう)
《算額3枚と酒呑童子の鬼退治の絵馬》
朝、雨が降っていて、こういう日はバスが混む。少し遅れて待ち合わせ場所の渋谷駅に着いた。到着するといきなり「”くたびれる”という漢字知ってる?」と聞かれた。
こういう字は漱石本や百閒随筆などで見慣れているからだと思う。即座に「”草に臥せる”という字」
と答えたら、三人とも知らなかったと感心された。
(どうやら”待ちくたびれ”の発想からふと疑問が起きたらしい。いえ、ほんの10分ほどお待たせしただけなんだけど)
今日のお目当ては『金王八幡宮』の算額。
冲方丁の『天地明察』を読んで、ずっと算額なるものを見たいと思っていた。
渋谷駅から歩いて15分ほどの一等地にあるから、神社の敷地はかなり狭められているが、右隣には東福寺があり、周囲には庚申塔もあり、駅周辺のざわめく雑踏から隔てられた別天地のようである。
算額とは、江戸時代前期から、神社に奉納される絵馬に、当時趣味や娯楽でもあった算術に関するものが現れるようになり、絵馬より大きめのものである。
この神社に残されている算額は1800年ごろのもので、大きさは横7、80センチはありそうな大きなもの。
この絵馬板に、円など図形が描かれた問題と、出題者の名前や所属する塾の名が記されている。
その答えに対し『明察』だの、『惜しくも』とか『誤謬にて候』とか書かれたそうだ。
他には鎌倉時代のお御輿があった。
『算額』という、時代をしのぶ貴重なものが見られて良かった。
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