「夏目漱石の妻」
NHKで4回にわたって放送された「夏目漱石の妻」は昨夜が最終回だった。
1、2回はまあまあいいと思いながら見て、これから面白くなって、どういう結末で終わるのか、後半に期待していた。
だが、3回目、竹中直人が養父になって登場したのには、まったくのイメージ違いで、竹中直人はアクが強すぎた。
名主の家に生まれ、漱石の父のもとで書生をしていたこともあるという人物にしては風体が悪すぎて、ゴロツキのようだった。
そして「坑夫」の材料を持ち込んだ、銅山で働いていた青年は、満島真之介という演技力の高い若手俳優を起用し、事実とかけ離れた出番を多くしたのは余計なことだった。
そして、大塚楠緒子という歌人を壇蜜が演じ、これまた行き過ぎた憶測で、漱石との仲を妻に嫉妬させるという話も逸脱しすぎている。
また、胃潰瘍で入院している漱石を見舞いにきた娘たちが、漱石がやろうというクッキーを受け取らないで帰るというのもあり得ない。あんな情けない場面が漱石にあり得るはずはない。
面白くなくて、途中で見るのを止めようかと思いながらとうとう終わりまで見てしまった。
結局、漱石夫妻の愛情物語として勝手なドラマに仕立て上げられてしまったという気がしている。
でも長谷川博己の漱石はよかった。漱石の声もこんなだったかしらと心地よく感じられるほど声がいい。
尾野真千子もピッタリの役だったのだが、脚本のせいで漱石の妻のイメージから程遠くなってしまった。
漱石の妻の父を演じた舘ひろしはこういう役ができる俳優だとは知らなかった。初老のわびしさを漂わせた好演だった。
俳優たちの演技は楽しませてもらった。
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