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2017年6月 9日 (金)

ピアノの調律

三人の子供たちが幼いころピアノを習わせていて、それぞれ中学生になったころには、三人ともやめてしまっていた。
それ以来、ピアノの調律は二年に一回、市内の楽器店から派遣される調律師にやってもらっていた。
調律師とはもう30年以上の付き合いであった。
今回2年目の同じ時期がきて、楽器店から電話があり、今までの調律師は病気で亡くなったので別の人が伺うからと、都合を聞いてきた。
 
調律に見えたのは若い女性だった。
最初に掃除機を貸してくださいと言われ、丁寧に掃除してくれているようだった。
それから調律に入っても長い時間がかかっていた。
いつもなら1時間ほどで終わりかけたような弾きならすような気配がしだす。
そうすると急いでコーヒーを入れる準備をしていた。
 
とうとう2時間ぐらいたって、ピアノの音がやんだので、「コーヒーかお茶のどちらをお入れしましょうか?」と尋ねたら、「紅茶をいただきます」と言われた。
それから紅茶を飲みながら、忙しいだろうから引っ張ってはいけないと思いながら、いつでも切り上げられるよう思いながら、しばらく話をした。
 
まず、もう40年にもなるピアノについては鍵盤の奥の弱くなっている部分は処置したが、この先急に音程が下がるようなことがあったらその部分を修理する必要が出てくる。
その場合の修理費は、10万単位になるのでしょうか?そうなります。
1年後に様子を見たほうがいい。
丁寧な信頼できる人にちがいないので、「もうご指示どおりにいたします」と答えた。
 
ピアノが好きでそれに関わるような仕事をしたいと、調律師を選んだそうだ。
高校までは普通の高校で、卒業して2年間、音大の別科へ進んだという。
調律師の資格試験などというものはないそうだが、卒業試験は難しかったという。
 
後でピアノを弾いたら、今までと全く違って、鍵盤はつやつやし、一音ずつ丁寧にいい状態に調整してくれたことが感じ取れるほど、タッチが滑らかになったように思われた。
今まで来てもらっていた男性は、昨年60歳でガンで亡くなられたそうだ。
 
私はこのピアノが愛しく、手が動く限りは弾き続けたいと思い、もう少し練習時間を増やさなければなどと思うようになった。

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