猫のしくじり
猫のルナは20歳になった。
今朝、朝食のとき、納豆はよく混ぜた方がいいのかしらと、お箸でかき混ぜていたら、何やらしぶきのようなものが飛んできた。
見ると、ルナが、イワシの生姜煮が入った深皿の上で後足を少しもたげてプルプルと震わせている。こちらに向けて扇風機が回っているからその間でルナがプルプルするとこちらに降りかかる。
いつも食器やモノの間を器用に縫って歩くのに、まともにお皿に足を突っ込んで汁がべったり付いたらしい。
どうも近くのものが見えにくいようだ。
階段などは、タッタタッタと敏速に上がり降りするのに。
感覚が鈍くなったのだろうなと思う。
私の方も鈍くなっている。
先日買い物を終えてイオンの駐車場から車を出そうとしていたら、車の誘導や整理をしている守衛さんが大きな声で「奥さん、さっきスカーフのようなものを落とされませんでしたか?」
と言われた。
落とした、と聞いて、すぐに私だと思った。私はよく膝の上に物を置いて運転して、そのまま忘れてしまうことがある。こういう失敗を何度かしたことがある。
時計、スカーフを2回。幸いいつも手に戻った。
「はい、たぶん私です」
「丁度その車のドアあたりに落ちていたので・・・出口に預けてありますので」
出口で係員から受け取った。
たった1枚のハンカチを、見当を付けた主が戻ってくるのを気を付けて見ていて知らせてくれるなんて、この人は自分の職分をきちんとやり通す人なんだろうなと爽やかさを覚えた。
こういう失敗をすると、当分は”気を付けよう”という気が起きるのだがそのうち薄れるかもしれない。
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