漱石山房記念館
待ちに待った新宿区の漱石山房記念館の完成だったが、すぐでは混雑しているかもしれないと思い、開館2週目に行ってきた。
記念館は、大江戸線の牛込柳町駅からは北に徒歩15分、JR四ツ谷駅からは南東に徒歩10分という場所にある。
往きは牛込柳町から、帰りは四ツ谷駅から帰ることにした。
混雑するほどでもなく、ほどほどの入りで、気の向くままにゆったりできた。
着いたときはお昼を過ぎていたので、まずはカフェで気分を味わうことにした。
「食べ物もあります」と書いてあったので、何があるか聞いたところ、「バターケーキ」か「最中」だという。甘党の漱石にちなんだメニューのようだ。
漱石が亡くなるまでの9年間を過ごした家は、先の大戦で焼け落ちてしまった。
それをできるだけ正確に復元させるために、11年余の歳月をかけ、総工費12億円で建設された。
漱石山房の目玉は、門下生たちが集まった、漱石の書斎である。
おびただしい蔵書の一冊一冊を、写真を見ながら似た背表紙を丹念に作り上げたという。
漱石の息吹を感じられたのは、半藤末利子さんが寄贈された漱石のハデな長じゅばんだけであった。
孫の夏目房之介さんは、遺品の一切を神奈川近代文学館に寄贈されていたし、近年は、漱石没後100年や生誕150年の記念展があって、姫路文学館では漱石自筆の書簡を沢山目にしたし、神奈川近代文学館では、朝日新聞社が所有する漱石のデスマスクも見た。
出来立ての新宿区立漱石山房記念館は、まだまだ中身が寂しい。
新聞に名誉館長に就任された半藤末利子さんが紹介されていたが、その欄を書いた記者の、《立派なハコはできた。後は魂をどう込めていくかである》との言葉が、実感として感じられる。
これから充実されていくだろうと期待している。
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