猫の悟り

どうも猫は犬よりもかしこいという気がする。

自分を守る本能に長けているというか、自分のことがよくわかっている。

最近はパック入りの軟らかいフードを何度も何度もせがむことが多く、その都度与えているが、たまに吐くことがあると、いつも食べたばかりのカリカリのフードだ。

おいしいことも軟らかいフードの方がおいしいに違いないけれど、消化力の弱った胃腸には、軟らかいフードがいいのか、カリカリでいいのか、その時のお腹の具合でわかるようだ。

また、自分の体力もよくわかっているらしい。

少し前までは、私が寝るとき、タッタッタッと二階に駆け上がってきて、ベッドに頭を並べていたものだが、今は他人が家に上がり込んでいても、二階へ逃げ込むようなことがなくなった。

隣の部屋に隠れている。

跳躍力においても、早くから衰えを悟っていて、台所のテーブルの上に上がりたいときは側に来て私の膝に足を掛ける。下りたいときは一旦椅子に下りて床へと下りる。

かつてミニチュアピンシャーという小型犬を飼っていた時のこと、13歳の老齢になって、ある日、椅子の上に上がろうとしてもんどりうって背中から落ちた。それから椅子の上に上がらなくなった。

猫は失敗しないで悟る。えらいものだと思う。