気軽に声かけ

時々通る、観音様へ続く、小さな赤い橋がある。

その橋のたもとに小さなお地蔵さんが立っている。

そこを通りかかろうとしたとき、お地蔵さんの傍に、人が倒れこむような姿勢で、前のめりにうつぶせていた。

最近でも目の見えない人が電車に巻き込まれるなどの悲惨な事故は後を絶たない。

周りの人が注意していれば防げただろうにと思える状況のことも多い。

私も最近は度胸もついてきて、気軽に声を掛けられるようになってきた。

もしや救急車を呼ぶような事態ではなかろうかと、「大丈夫ですか？」と声をかけた。

すると、お年寄りの男性だったが、顔を上げて「大丈夫です。どうもすみません」と言われ、しゃっきりと体を起こされた。

その顔は、元気そうで、なんの問題もなさそうだった。

お地蔵さんの周りの清掃をして、ちょっと休憩していただけらしかった。

それで、あんな紛らわしいような格好で休憩しなくてもと、ほっとしたものの、本人も声を掛けられて驚いたのではと、お互い目を見合わせながら感じたのだった。