”老年期は苦痛と危険がつきもの”
単行本は高いし、場所もとるしで、文庫本ばかり買っているが、生活クラブの紹介図書で買った、ル・グウィンの生前最後のエッセイ集『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』は表紙に本人の写真が大きく載っている単行本なので、余計に愛着が湧く。
これからも時々見開きたいと思うから。
3年前に88歳で亡くなったが、この本はブログとして、”老年を生きる”ことをテーマとして書かれたものである。
特に次の部分が、老齢意識のただなかにいる私に、強く悟らされる言葉である。
『老齢であること、そのこと自体に敬意を払う伝統はある程度根拠のあることだ。毎日の生活をこなし、かつては簡単過ぎて気にもとめなかったことをするのが、年を取るにつれ、どんどん難しくなってくる。そしてやがては、そういうことをするのに、本物の勇気が必要になるかもしれない。老年期は苦痛と危険がつきもので、最後は不可避な死で終わる。そのことを受け入れるには勇気が必要だ。勇気は敬意に値する』
私には痛みに耐える勇気はない。命を縮めても逃げ出したくなるだろう。
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