猫を閉じ込めてしまった
まったく、猫というものは狭い奥へ入りたがるものだ。
朝、チラと見たきり一日中姿を現さなかった。
いくらなんでも飲まず食わずで夜まで寝ているはずはない。
「ピッチ・・ピッチ・・」と呼び掛けながら、家じゅうの押し入れを探した。
油断していてどこかから外へ出てしまったのかもしれない。
夜、寝る頃になって、帰ってきたらすぐわかるように、一か所雨戸を開けて、濡れ縁の上にピッチの寝床を置いて、”夜中に何度か起きて確かめることになるだろうな”と思いながら、あきらめて、二階に上がり、寝ることにした。
すると、かすかに物音が聞こえた。
もしやピッチかもしれないと、部屋の中で「ピッチ、ピッチ」と呼び掛けると、次に確かに「ニャ~ニャ~」と答えた。
部屋に押し入れ以外に隠れる場所などないのに、・・いったいどこだろうと、見当がつかなかった。
また「ニャ~」と近くで。
なんとベッドの下の引き出しに入っていた。
朝、下着類を入れている引き出しを開けているとき、サッと入り込んでいたのだ。
それにしても、いつもチョロチョロしているピッチの姿が、一日中見えなかったのは、本当に寂しかった。
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